(1)保育ニーズの将来展望と対応
【渡部議員】
保育所等の待機児童数が「2年速統でゼロ」となった。待機児童数がゼロになったことは喜ばしいことだが、2021年5月に厚生労働省が開催した討論会では、2025年に保育所の利用児童数がピークを迎え、その後緩やかに減少に転じるという推計が発表された。また、2021年の出生数は前年から2万9231人減り、過去最少の81万1604人となり、少子化の加速により保育所等が余る時代が懸念されている。実際、9年連続でゼロが続く京都市では、保育施設の定員割れが深刻化しているとの報道もあった。
そこで、以下伺う。
ア 平塚市のピークアウトはいつ頃と予想しているか。
イ その対応策ほどのようなことを考えているか。
○本市のピークアウトの時期
○ピークアウトの対応策
(健康・こども部長)
ピークアウトの時期については、出生数、保育所等利用率、転入転出など、さまざまな要因があり中長期的な予測が難しいことから、人口動態や入所申込数などを注視しているところである。
対応策として、将来のピークアウトを見据え、既存保育所の増改築のほか、近年は弾力的な活用が可能な賃貸物件改修方式による民間認可保育所及び民間小規模保育事業の整備を進めているところである。
*** 再質問 ***
【渡部議員】
子供の数の減少に応じて財源を減らして、園児が減った園を廃園するといった成り行きまかせではなくて、保育ニーズを増加させるために、子育て支援を充実させて、女性の就業率や、出生率を上げることを目指すべきではないかと思う。新たな子育て支援策などは考えていないのか。
(健康・こども部長)
新たな子育て支援策ということでの質問だった。
先ほどの答弁にも少しあるが、まずこれまで行ってきたネウボラといって、そういう切れ目なく、生まれてから、乳児、小学生、切れ目なく支援するネウボラとかそういった取り組み、あるいは小児医療費の助成なんていうことも、これまでもすでにやっているところだが、新たな支援策、4年度に取り組んだものとしては先ほどの答弁にあった、より利用がしやすい駅周辺への賃貸改修方式による民間認可保育施設の整備とか、あるいは、保育士を確保させてもらうことで、より保育園に入りやすい形にする、あるいはその受け皿を増やすことで、より保育園へ入りやすい形にするという意味で、保育士確保の視点としては本年度創設された東海大学の児童教育学部と連携を今年度もさせてもらって、卒業するのは4年後ということになるが、実習生の受け入れというような形を早々にさせてもらって、早めの体験をしてもらうというような機会も今年度実施しようというふうに考えている。
また、生まれた方の子育て支援という意味で、妊婦だとか産婦だとか、産後うつの予防とか、生後間もない時期の産後うつみたいなことを防止するようなことも含めて、妊産婦への妊産婦健診の助成だとか、あるいは産前産後ヘルパーの仕組みはもうすでに持っているが、その対応可能期間を1年まで延ばすとか、そういったような細々というか、さまざまな施策を少しずつ拡充、拡大あるいは新設させてもらっているような取り組みを持っている。
引き続き利用者というか、市民の意見をもらいながら、新たな支援策を検討していきたいと考えている。
【渡部議員】
子供がこのまま減っていくのに対して、対処療法的に行っていくというのも大事だと思うが、さまざまな苦労をしていることは理解しているが、保育ニーズが減少するということは、近い将来わかっているわけだから、それに対応した政策というのも考えていかなければいけないと思う。私としては、今、兵庫県明石市に注目をしていて、明石市は子育て支援を充実させることで、人口が9年続けて増えて、出生率も2018年に1.70と、全国平均の1.42を大きく上回る結果が出ている。明石市は、子供を核としたまちづくりをテーマに、子育て支援の充実を目指し、所得制限なしで医療費、給食費、保育料、公共施設、おむつという五つの無料化を実施している。特に、2016年の第2子以降の保育料の完全無料化というのを行ったところ、人を広く呼び込み、転入者が転出者を上回るようになったそうである。人口増に伴って税収が増えるのはもちろん、国からの交付税も増える。
本市も4歳以下の転入超過などの明るい兆しはあるので、第2子以降の保育料の無料化を行うべきと考える。そうすると、今いる平塚市の保護者、親が子供を産もうと思うかもしれないし、転入してこようと思う人もいると思う。第2子以降の保育園無料化について見解を伺う。
(健康・こども部長)
明石市の制度の詳細はちょっと承知していないが、第2子以降の完全無償化ということで、その対象が何人いるかというのは、積算できていないので一概に言えないが、そこに係る、いわゆる一般財源になるかと思うが、その予算と、実は他施策で求められている、あるいはニーズがあるようなものに投入したほうがいいのか、その辺はちょっとバランスを見る、あるいはそれ以外にもっと効率的な方法、いい方法があるかどうかも含めて研究すべき課題だと考えている。
(2)保育人材の確保について
【渡部議員】
近年保育現場において保育士不足が深刻化している。その背景には、共働き世帯の増加に伴う待機児童の問題と、それを解消するための保育所等の増設がある。それにもかかわらず、メンタル疾患者の急増や離職率の高さ、慢性人手不足、求人にかかる費用がかさむことなどに多くの保育所等は悩んでいる。
それにより保育士の求入数は増え続け、厚生労働所の職業安定業務統計によると、2022年1月の保育士の有効求人倍率は全国平均2.92倍となっているが、全職種平均の1.27倍と比べると、依然高い水準で推移している。保育士不足の深刻化に対して、市は保育士確保のためのさまざまな施策を講じている。たとえば、保育士就職促進貸付金、保育士就労支援交付金、保育士奨学金返済支援補助金などを実施している。
しかし、新規就業者が増えたとしても、すぐに離職してしまえば、保育士不足の状況は改善されない。また、早期離職が常態化すれば保育士としての専門性の蓄積がなされず、保育の質の低下にもつながりかねない。
そこで、以下伺う。
ア 本市の保育士の離職率はどのくらいか。
イ その要因として考えられるのは何か。
ウ 保育士の離職防止に対する取り組みにはどのようなものがあるか。その利用状況や効果はどうか。
○本市の保育士の離職率
○離職要因
(健康・こども部長)
本市の保育士の離職率は、厚生労働省が令和2年9月30日に行った「保育の現場・職業の魅力向上に関する報告書」によると、全国では平成30年10月時点で約9%となっており、本市においても同程度であると想定している。
令和元年度の東京都保育士実態調査では、離職の要因はさまざまだが、給与の低さ、休暇がとりにくい、長時間勤務などの労働環境、保育方針が合わないなど保育士特有の理由があると考られる。
○保育士の離職防止に対する取組とその利用状況と効果
(健康・こども部長)
本市では、保育士の心身の健康を保持し、就労継続を図ることを目的として、市内保育所等の保育士を対象に、臨床心理士等によるカウンセリングの経費を補助している。利用数は年々増加しており、離職防止の一助となっていると考えている。
*** 再質問 ***
【渡部議員】
現状、平塚市の離職率や要因というのは答弁がなかったが、保育士確保のために多額の支援金がかかっているので、今働いている保育士の離職を防ぐためにも、本市の保育士の入りと出を把握する必要があると思う。今後、離職率や要因を調べることはできないのか。
(健康・こども部長)
公立園だとすぐ把握はできると思うが、民間園だとなかなか、臨時の方というか、常勤的な臨時の方みたいなとか、そういうのもあるし、出入りも大きいところがあるので、この時点で調査をしてそれをもってどういう対応するというのは答弁しかねるところである。
ただ、保育士が不足をすると、当然待機児童等につながってくるので、私どもとしては新規採用とか、今行っているような保育士確保策を拡充する、充実していくことで、長く勤めてもらうような体制整備を続けていきたいと考えている。
【渡部議員】
新規採用にはそれだけコストがかかるので、それよりも出ていかないという方法を考えた方が結果コストはかからないと思う。それに保育の質も上がるので、ぜひ、そういった検討してもらいたいと思う。
先ほど臨床心理士によるカウンセリングを行っているということを言っていたが、これはメンタルヘルスケア実施支援事業補助金のことを言っているのかと思うが、この制度について、もう少し詳しく聞きたい。
(健康・こども部長)
そもそも、民間保育士が心身の健康保持により就労継続につながるよう、臨床心理士等によるカウンセリングに要する経費を補助するというような仕組みで、金額的な話としては、かかった、カウンセリング1回当たりにかかった費用の2分の1で、上限今4000円というような形で、同じ保育士は年間3回まで活用できる、使用できるような仕組みとなっている。ちなみに実績を言うと、令和3年度で13人が利用しているような仕組みのものである。
【渡部議員】
このメンタルヘルスケア実施支援事業補助金を利用するには、本人からの申告でできるのか。
(健康・こども部長)
申請方法は、園が、保育所等が市に申請をするというような形となっている。
【渡部議員】
園からの報告ということは、施設長が認めないとこの補助金は使えないということかと思う。本人からというのはなかなか言い出しにくいと思うし、むしろメンタルヘルスというのは本人が気づかないうちに進行している可能性もあると思う。この制度を使った人が、令和元年は3人、令和2年は9人、令和3年は13人と聞いているが、これについてこの数は、私は少ないと思うが、どう考えているのか。
(健康・こども部長)
潜在的なニーズは確かにどの程度いるかというのは掴めていないが、聞いてる話とかの中では、園を通してだとなかなか本人が申請しにくいのではないかはないか、利用しにくいのではないかという話だが、一方で、逆に本人が気づかないけども周りが何となく気づいてきて、例えば園長先生が声をかけて、利用してはどうかというようなことを促されたというような話も聞いているので、もう少しこの辺については今のスタイルでどうかなというふうに、様子を見ていきたいと考えている。
【渡部議員】
周りの人が気づいてくれればいいと思うが、もしかしたら周りの人との関係で、悪くて、そうなってしまっているかもしれないし、園長先生との関係が悪くて、メンタルヘルスなってしまっている可能性もあるので、なかなかメンタルヘルス不調を予見するというのは難しいのではないかと思う。
メンタルヘルス不調を予防するには、一次予防であるストレスチェックの方が好ましいと思う。公認心理士、臨床心理士によると、労働者が50人以上の事業所においては、年1回のストレスチェックを行うことが義務づけられている。しかし、義務付けられていることをご存知なかったりとか、パート・アルバイトを含まないと誤認していて、該当しないと思っている事業者もあるそうである。また、労働者が50人未満の事業所においても努力義務とされている。ストレスチェックの導入に対して、市が支援することはできないのか。
(健康・こども部長)
ストレスチェックに、事業者の実施について支援ということだが、50人以上の法人は実施の義務づけがあるということなので、これについては法人の方で、きちっと法規性の中で、法規制というか、法令に基づいて実施されているのであろうというふうに認識をしている。
その支援については、事業者が、現時点で私が思うのは、事業者の義務というか責務というかいうことだと思うので、ここでは市として支援をしてそれを促すというようなものが、まだ求められてるものではないんだろうなというふうに考えている。
【渡部議員】
労働者が50人以上の事業者、事業所は行っているだろうということだった。それでは公立保育園ではもちろんストレスチェックは行っているのか。
(健康・こども部長)
公立保育所では、私どもと同じ職員なので、同じようなストレスチェックを行っている。
【渡部議員】
職員と同じようなということは、厚生労働省が作成した一般職向けのストレスチェックということか。
(健康・こども部長)
同じものである。
【渡部議員】
これも公認心理士・臨床心理士に聞いた話だが、一般職向けのストレスチェックでは、園従事者のストレスチェックは測りにくく、実施しても職場環境の改善にはつながりにくいという現状もあるそうである。東京都は社会福祉法人や自治体が、公認心理士や臨床心理士などの有資格者が作成した、園従事者に特化した保育ストレスチェックを導入したことによって、職員のストレスが軽減し、メンタル疾患者や離職者が激減したという実績があるそうである。まずは公立保育所から保育ストレスチェックに変えることはできないのか。
(健康・こども部長)
まずはちょっとそこでどう変えると、どの仕組みかというのがちょっと詳細の確認できていないので、それは確認、今後させてもらいたいと思うが、まずは、ストレスチェック、我々と同じかもしれないが、ストレスチェックを継続的に行い、庁内にも健康相談室もあるし、産業医もいるので、そういったところも利用をあわせてしながら、職員の働きやすさを実現、継続していきたいと考えている。
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