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令和3年12月議会質問答弁要約【3】有機農業の推進と学校給食での利用

渡部議員

市民の食の安全・安心に対する関心の高まりや気候変動対策、生物多様性の保全を促進し、持続可能な食を実現できる手段として、有機農業を推進していくことは重要であると考える。

農林水産省は5月、農業の生産力向上と持続性の両立の実現をめざす「みどりの食料システム戦略」を策定した。2050年までに農林水産業のCOゼロエミッション化の実現や、耕地面積に占める有機農業の取り組み面積を25%、100万ヘクタールに拡大することなどの目標を掲げた。2020年農林業センサス調べによると、平塚市の耕地面積は880ヘクタールである。そのうちの25%となると、220ヘクタールである。しかし、平塚市内の有機農業の取り組み面積はごく僅かと聞いている。また、本市の農業政策の計画である、「平塚市都市農業振興基本計画」にも、有機農業の「有」の字も書かれていない。今後、国が有機農業を推進していく中で、平塚市の考え方、スタンスを伺う。

また、「みどりの食料システム戦略」を実践するために、交付金など「みどりの食料システム戦略緊急対策事業」として25億1,800万円が当てられる。交付金のうち、「有機農業産地づくり推進緊急対策事業」では、市町村主導での取り組みを推進する方向で有機農業の生産から消費までの一貫した取り組みを支援。先進的なオーガニックビレッジを創出するため、事業者や地域住民を巻き込んだ取り組みで生産から集出荷体制、学校給食での利用、量販店での有機コーナーの設置などの実施と計画づくりを支援する。2025年までに100市町村でオーガニックビレッジ宣言を行い、そのオーガニックビレッジを中心に、有機農業の取り組みを全国で面的に展開していくことが考えられている。現在、農水省の職員が説明に全国を飛び回っているそうである。本市もオーガニックビレッジ宣言に手を挙げるつもりはないのか。

オーガニックビレッジの出口戦略の一つとして学校給食での利用が明示されているが、交付金では、学校給食での利用について買い取り予算まで予算付けをするとのことである。買い取りというところまで一歩進んだ上で、課題の洗い出しを来年度してみようということである。世界的に見ても、学校給食のような公共調達から有機農業を拡大させようとする流れが主流である。それから、学校給食での100%有機米を実現した千葉県いすみ市では、有機米にしてから残食が10%減少、イメージアップと認知度向上、移住者の増加、農産物のブランド化、農業者の所得向上、新規就農希望者の増加などさまざまな成果が上がっている。学校給食での有機食材の利用について、見解を伺う。

○有機農業推進への見解

○国が実施する予定のオーガニックビレッジへの参加

産業振興部長

1点目の「有機農業推進への見解」と2点目の「国が実施する予定のオーガニックビレッジヘの参加」については、関連があるので一括で答弁する。現在、本市の農業施策の柱として、人手不足の解消と生産性向上という大きな課題の解決を図るため、スマート農業の導入を進めている。こうした取り組みを進めることで、農業経営の拡大や農産物の高付加価値化への下地ができ、雇用の創出や新規就農を希望する方を多く呼び込むことが可能になるなど、有機農業などの新たな取り組みができる環境が整えば、将来的にはオーガニックビレッジの取組も課題の一つになると考えている。

○学校給食での有機食材の利用

産業振興部

学校給食では、使用する食材の購入費相当分を、保護者の方々から学校給食費として納めてもらっている。現在は、1食単価の目安を253円と定めており、この中で主食とおかず、牛乳などを栄養価に沿ってバランスよく組み立てることが必要となる。また、学校給食で使用する食材については、市内全小学校の児童と教職員の喫食量を、年間を通して安定的に確保できるものであることが必須となる。そのため、学校給食への有機食材の導入については、価格面では現在の食材と同等なレベルとなることや、学校給食を賄える量を安定的に確保できることなど、食材として使用できる条件が整うことが必要であると考える。

*** 再質問 ***

渡部議員

人手不足や生産性の向上のためにスマート農業を導入するということだが、スマート農業自体、かなり経費がかかるものだと思う。日本の有機食品市場は拡大傾向だが、一人当たりの年間の有機食品の消費額は他国と比べても小さいことから、これから伸びる余地も大きいと考えられる。今後も環境意識の高まりと相まって、有機食品の需要は更に拡大すると見込まれることから、潜在的な需要を掘り起こしつつ有機農業を始める必要があると思う。そのためにもオーガニックビレッジ宣言に手を挙げる準備をしておくべきと思うが見解を伺う。

産業振興部

宣言をすること自体はたやすいことなのかもしれないが、宣言をするからには行政の責任として達成をしていかなければならない、達成の見込みがなければいけないと思う。少し遠回りに聞こえるかもしれないが、さきほど答弁したような道筋をきちんとつくって、その上で責任を持ってオーガニックビレッジ宣言をしていくような考え方で、またそれを農業者が理解をした上でやっていかないと、無責任な宣言になってしまうので、そういった理解も得ながら、やれるものはやっていくということになろうかと思う。

渡部議員

国も2025年までに100市町村、2030年までに市町村の1割といっているので、今すぐやれとは言わないが、少しずつでも準備してもらえればと思う。もし、学校給食に有機食材を利用するとしたら、先行事例や有機農業の農家の声からも、米から始めるのが良さそうであるが、本市の小学校給食で必要な米の量はどれくらいか。

学校教育部

現在の状況だと、約96トンである。

渡部議員

先ほどの答弁では価格差が問題だということであったが、有機米は慣行米の1.5倍の値段が相場であるが、千葉県のいすみ市では、給食費を値上げしなくても済むように差額を一般会計から補填している。1㎏当たり147円で計算しており、本市の場合で考えると、小学校給食で使用する米約96トンを有機米に切り替えるのに年間1411万円ほどでできる。学校給食に有機食材を利用するメリットの一つに、農家の経営の安定がある。千葉県いすみ市では、当初3戸だった有機米の農家が、学校給食で有機米の使用を開始すると15戸に増え、現在は25戸に増えている。これを見ると、高いか安いかということについてはさまざまな意見があると思うが、1411万円で食の安心・安全、農家の高齢化や担い手不足、有害鳥獣による農作物被害の増加などの問題が解消できるのであれば、決して高くはないと思うが、見解を伺う。

学校教育部長

現在の有機米の市場において、本市が購入できる金額がいすみ市と同等かは分からないので、1411万円で足りるかは分からない状況である。また、一定数が確保されないと難しいということもある。現在の本市の学校給食の米については、平塚産のはるみを中心に使っている。それをもとに、安心・安全でおいしい給食を提供して、しかも低廉な価格で実施しているので、現状と同様の金額で有機米が購入できるようであれば考えていくことも一つだと思っている。

渡部議員

確かに価格の問題となると厳しい話になるが、量の問題については、いきなり全量を有機米にするのは難しいと思うが、学校給食での有機米100%を実現したいすみ市でもはじめは4トン、1か月間の給食から始めて、4年間で42トンまで増えている。千葉県木更津市では、令和元年度から8年計画で学校給食での有機米100%提供に向けて動き始め、令和元年度に生産された有機米は約3トンで、市内全小中学校30校で3日間提供された。いすみ市はゼロから始めて4年間で100%を達成した。学校給食で使うということと有機農業をゼロから始めるということをセットで始めたからこそ実現できたということである。本市には既に無農薬米の農家がいて、その話を聞くと10年あれば十分達成できるということであった。それだけでなく、ノウハウも提供していいと言ってくれている。例えば、日数を絞るとか、自校方式から始めるとか、そのようなできるところから始めればよいと思うが見解を伺う。価格が安定した場合の話になるが。

学校教育部長

価格が現状と同等の金額ということであれば検討する余地はあるのではないかと認識している。

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