【渡部議員】
グリホサートやネオニコチノイド系農薬は、人の健康や生態系への悪影響が懸念されているが、本市でもグリホサート系の除草剤を使用している施設が見受けられたので伺いたい。グリホサートは、WHO(世界保健機構)の専門家機関が2015年に「発がんのおそれあり」と評価したことから世界では使用禁止や規制強化が進んでいるが、日本は逆に規制を緩和した。これは世界の流れと逆行している。アメリカではグリホサートを有効成分とする除草剤でがんになったとして裁判所は320億円の支払いを命じたが、すでにこのような裁判が12万件も起こされている。グリホサートは「ラウンドアップ」などの商品名でホームセンターなどでも販売されている。グリホサートは「毒性が低い」「環境に優しい」と開発企業は宣伝してきた。しかし、最近の研究で、発がん性、神経毒性、生殖や出産への影響、世代を超えて受け継がれる影響を指摘するものが続々と発表されている。そこで、以下質問する。
(1)平塚市における農薬使用に関する基本的な考え方を伺う。
(2)公共施設でのグリホサート系除草剤の使用状況について伺う。
(3)グリホサートの危険性について、どの程度認識しているのか。
○平塚市における農薬使用に関する基本的な考え方
(総務部長)
本市では農薬の一種である除草剤を限定的に使用しており、児童生徒や住民の生活に影響を及ぼさないよう、慎重かつ適切な取り扱いが必要であると認識している。その場所の状況により、除草剤を使用する場合には、国の使用基準を踏まえた中で、最小限の区域を適正な濃度と容量により使用することとしている。
○公共施設でのグリホサート系除草剤の使用状況
(総務部長)
庁舎では、除草剤の使用は最小限とし、本館2階の屋外広場の一部でのみ、年に2回ほど雑草の生育初期に使用している。学校においては、状況によって農薬を使用する場合もあるが、最小限にとどめ、児童生徒に影響がないよう、時期や時間帯を配慮して使用している。また、散布後は立入制限範囲を設定し、児童生徒が立ち入らないように安全性に配慮した措置を行っている。最後に、公園では除草剤の使用はしていない。ただし、今年度、豊田本郷緑地において、除草の効果を確認するため、試験的に除草剤を使用した。また、馬入ふれあい公園の、アリーナ2階デッキの雑草が生えやすい部分のみ、年2回ほど除草剤を使用している。
○グリホサートの危険性についてどの程度認識しているのか
(総務部長)
グリホサートを含有する除草剤に限らず、農薬の登録に当たっては、農薬取締法に基づき、国が農薬の安全性その他の品質に関する審査を行った上で、農薬の使用方法や使用上の注意事項を定め、農薬の安全性の確保を図っている。このため、国の登録を受けた農薬について、定められた使用基準を遵守して適切に使用する場合は、安全なものと認識している。
*** 再質問 ***
【渡部議員】
農薬の使用に関しては、慎重かつ適切な取り扱いをしているということだったが、さまざまな課に話を聞いたところ、課によっても認識がまちまちだと感じた。農薬を絶対に使わないで草刈りで対応するという課もあれば、最低限の農薬は使うという課もあった。再度確認するが、基本的に農薬は使わないという考え方は各課に共有されているのか。
(総務部長)
本市では、統一的なマニュアルは現在ない状況であるので、そういった意味での共有はされていないと認識している。
【渡部議員】
市として、公共施設での農薬使用についての基本指針をつくってはどうか。千葉県佐倉市では、「佐倉市有施設における農薬、殺虫剤等の薬剤使用に関する基本指針」を作成しており、趣旨として、「農薬、殺虫剤等の薬剤は、病害虫等の防除においては有効であるが、使用方法によっては、人の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性がある。また、日常的に施設の管理に使用されるその他の薬剤についても、特に妊婦や子供、化学物質に感受性の強い市民や病人には健康被害を及ぼす危険性がある。そこで、多くの市民が利用する市役所本庁舎をはじめとした市有施設が率先して病害虫等防除時に、できる限り薬剤を使用しない方法を推進するとともに、その他の薬剤の使用についても、人の健康と安全を確保し、環境への負荷の低
減を図るため、この基本指針を定める。」と書かれており、しっかりと佐倉市としての考え方が示されている。このような指針を本市でもつくって各課で共有すべきだと思うが見解を伺う。
(総務部長)
本市として統一的なマニュアルは作成していないが、国の農薬取締法などの関係法令をもとに神奈川県が策定している「農薬安全使用指導指針」の中で、学校や公園、公共施設における農薬使用について、安全かつ適正な使用を図るための事項が具体的に示されている。このため本市としても、この指針を準用していきたいと考えている。
【渡部議員】
神奈川県の指針の中に、「住宅地等における農薬の使用について」があり、事前に周辺住民に対して農薬使用の目的、農薬散布の日時、農薬の種類等を記した書面や看板等により周知することと書いてあるが、10月20日に農薬が初めて撒かれた豊田本郷緑地に行ったが、入口に紙が一枚あり、「回覧 除草剤を散布します。豊田本郷緑地は非常に早く草丈が長くなってしまい、定期的に草刈りを行っても根本的解決に至らないため、除草剤散布をさせていただきます。詳しい日時は決まり次第、改めて周知させていただきます。周辺の皆様には大変ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。散布箇所についてはシートで養生いたします。」と書かれていた。その時は、除草剤を撒かれて枯れた草はそのままになっていたし、シートのない状態であった。回覧にも日付等は書かれておらず、これで本当に神奈川県の指針に則って周知をしたといえるのか。
(都市整備部長)
今回初めて試験的に除草剤を使った中で、地元とも協議しながら対応はしたが、不備な点があれば今後改めていきたい。
【渡部議員】
今回、豊田本郷緑地でラウンドアップの使用があったが、これを機に、ほかの公園にも農薬の使用が広がるのではないかと懸念している。グリホサートへの不安が払しょくされない間は、予防原則に基づいて、公共施設では使用を控えてほしいが見解を伺う。
(総務部長)
国が登録しているグリホサートを含有する除草剤については、国際的に認められた試験方法に基づいて審査を通っているものであり、使用基準内であれば安全性については確保されるものと考えている。このため、本市では使用方法や注意事項をしっかり守った上で、必要最小限かつ区域を限定して使用していきたいと考えている。
(都市整備部長)
豊田本郷緑地の件で補足をする。周辺への周知については、周辺の住宅へのポスティングを行っている。
【渡部議員】
国で認められているとはいえ、49か国で禁止をしており、EUでは積極的に禁止をしているので、できる限り使わないという方向で考えてほしい。公園は利用者が少ないから雑草が繁茂するのだと思う。利用が少ない公園については、これまで公園の三種の神器と言われていた滑り台、ブランコ、砂場が配置されて一律に整備された公園のあり方というものを、暮らしや地域の関係性から見直していく必要があるのではないか。
(都市整備部長)
市内に280近くの公園があり、場所によっては近くに公園が近接しているという状況もある中で、今後の維持管理の経費や草の状況などを踏まえると、特に遊具等の部分ではある程度機能が重複しないように分散、集約ということも現在研究している。地域のニーズもあるので、そのあたりも今後研究していきたい。
【渡部議員】
少子高齢化は言うまでもなく、ライフスタイルや価値観の多様化によって、公園に対するニーズも変化していると思うので、是非研究してほしい。提案だが、例えば、ソファーやテーブルセットがある井戸端会議ができる公園、みんなでつくる花壇コミュニティガーデン、みんなで楽しむファームガーデンなどにしたり、草の管理が大変であれば、コンクリート舗装をしてスケートパークにするのもよいのではないか。こんな小さい公園がそばにあったら、今は何もなくて誰もいない公園も生かされるのではないかと思うが見解を伺う。
(都市整備部長)
コミュニティガーデンという使い方で考えれば、全ての公園とは限らないが、愛護会が花壇を設置したり草刈りをしたり、そういった形の使い方をしているところもある。質問の趣旨はグループなどで使うということだと思うが、そういったことであれば、市に専用の手続きをしてもらう必要がある。その中で、団体の構成や活動内容などを市と協議してもらい、条件が合えば許可がおりるという形になる。スケートボードについては音が出るので、公園はかなり住宅地に隣接していることから、近隣住民に理解してもらって整備するのは難しいのではないかと考えている。
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