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令和3年12月議会質問答弁要約【1】指定管理者の指定について〔平塚市北・西・南図書館〕

渡部議員

図書館での指定管理者制度の導入は平塚市として初めてであるので、以下質問する。

(1)図書館に指定管理者制度を導入するメリットとは何か。経費削減、業務の効率化及び市民サービスの向上の観点から答弁をお願いする。

(2)民間のノウハウとは、具体的に何を期待しているのか。

(3)事業者の選定にあたり、当該事業者から「地区図書館が行う子供向けや学校向け事業の実施について」提案をもらったと思うが、どのようなものがあったのか。

(4)図書館の貸出点数も来館者数も、コロナの影響があったとはいえ、減少傾向が続いている。図書館の来館者数を増加させたい市に対して、指定管理者制度は、来館者が増えれば増えるほど経費がかさんで赤字になってしまうので、利益相反になると思うが、そのギャップを埋めるための方策は何か考えているのか。

(5)貸出点数や来館者数の減少の一因として、図書館の生命線である図書購入費の減少も考えられる。図書購入費は、ここ10年でどのように変化しているのか。また、減少の理由は何か。

(6)指定管理者の指定の期間は5年と短く、司書の職員が持つ経験が5年で失われてしまう。図書館の継続性や専門性はどのように担保するつもりなのか。

○図書館に指定管理者制度を導入するメリットとは何か

○民間のノウハウとは、具体的に何を期待しているのか

市長

1点目の「図書館に指定管理者制度を導入するメリットとは何か」と2点目の「民間のノウハウとは、具体的に何を期待しているのか」は関連があるので一括して答弁する。地区図書館に指定管理者制度を導入するメリットだが、市民サービスの向上としては、図書館を利用してもらうための各種講座やイベントの開催といった独自企画の展開による利用者満足度の向上、開館日数・開館時間の拡大といった利便性の向上など利用者の増加につながる効果が期待できる。また、経費削減、業務の効率化としては、図書館運営で培ってきた経験を活かした効率的な運営や、地区図書館3館を同一の指定管理者が行うことにより、状況に応じて柔軟な人員配置が可能となるほか、3館で連携した図書館サービスを展開することが期待できる。

○子供向けや学校向け事業の実施について、どのような提案があったのか

市長

子ども向けの事業としては、子どもの読書相談専用窓口の設置や、年齢に応じたおはなし会、図書館職業体験事業の実施など、また、学校向け事業としては、学校の授業や行事での資料活用として、調べ学習に対する資料案内や情報支援のほか、学校図書館の蔵書、サービス、レイアウト変更等の環境整備への支援などの提案があった。

○来館者が増えることによる利益相反についての方策は

市長

指定管理者制度の導入にあたっては、開館日や開館時間の拡大など利便性の向上により、利用者が増加することを想定して指定管理料を設定しているため、利益相反によるサービスの低下となるようなことはない。

○図書購入費はどのように変化しているのか。減少の理由は何か

図書館利用者の多様化するニーズに応えるため、新たなウェブサービスの導入による図書館システムの更新や、施設の維持管理などの経費が増加している。図書館の予算全体のバランスを考慮した結果、図書購入費は、ここ10年間で年々減少している。図書購入費は、図書館事業の根幹を成し、サービスに直結する重要な経費であることから、指定管理者制度の導入にあたっては、地区図書館での図書購入費を令和3年度当初予算の1.5倍を最低限度額で設定し、魅力ある蔵書の確保を図り、図書館サービスの向上を目指していく。

○図書館の継続性や専門性はどのように担保するつもりか

(市長

指定管理者は、指定管理期間終了時には、次期指定管理者が円滑かつ支障なく運営業務を遂行できるよう、引継ぎ書等を作成し、研修を実施することとしており、管理運営業務や学校等支援事業、地域連携事業などの各事業に対して、継続性を保つことができるようにしている。また、実務経験者と司書資格を有するスタッフを配置することを求めていくことで、専門性を保つことができると考えている。

*** 再質問 ***

渡部議員

業務の効率化が図れ、市民サービスの向上もできて、なおかつ経費が少なく抑えられるのであれば、それはメリットでしかない。しかし、人件費のように、直営時には消費税が不要であった項目も、指定管理料となれば消費税が掛かることになる。直営時には不要であった経費が増えることになるし、さらには当該事業者の本社経費なども掛かってくる。つまり、直営時には不要だったこれらの金額が市民のためには使われずに流出してしまっているということになる。結局、手元に残るのは僅かで、市民サービスが大きく向上するとは思えないが、見解を伺う。

社会教育部

地区図書館に指定管理者制度を導入するに当たっては、図書館運営の経費をこれまで以上に掛けることなく利用者のサービス向上を図ることを目的としている。今回、事業者からの提案であったサービスの向上については、独自企画の展開や、開館日・開館時間の拡大など、今まで培ってきたノウハウを生かして新たな提案がされている。また、提案された指定管理料は市が想定した額を下回っており、その中で新たなサービスの実施も含まれて算出されたものである。このようなことから、指定管理者制度の導入によるサービスの向上が期待できるものとなっている。

渡部議員

学校向け事業についてだが、本市は県内では早い時期に学校司書を配置し始めて全校配置を実現した。しかし、これまで日数も時間数も増えないままで、着々と学校図書館の充実を図る近隣の市町に後れをとってしまっている状態である。本市の学校司書の勤務日数は週2日程度と近隣の市町と比べても少ない。調べ学習の機会が多くなるに従って、資料の準備などをする学校司書の必要性が高まっている。民間のノウハウを生かして学校図書館との連携も図ってほしいが見解を伺う。

社会教育部

今年の3月に、図書館運営の方向性を示す「これからの平塚市図書館運営のあり方」を策定し、これに基づいて業務を行っている。この方針の中でも、地区図書館の役割として、地域の団体活動を支援するほか、近隣の学校図書館を支援することとしている。今回の指定管理者制度の導入においても、この方針に基づき学校図書館を支援することとしているが、学校図書館によって必要とされる支援の内容が異なる部分があるので、今後、各学校と連携を密にし、状況に応じて対応していきたいと考えている。具体的には、学校の授業や行事での活動支援や、学校図書館の環境整備の支援を行っていきたいと考えている。

渡部議員

受け皿となる学校司書の勤務時間も見直していくべきではないか。

教育指導担当部長

現在教育委員会では、学校図書館活用支援事業を行っている。これは司書教諭を補佐する学校司書を配置して学校図書館の活用を推進することにより、子供たちの学習や読書活動の充実を図るという趣旨で行うもので、年1回設ける連絡協議会において、講演会やそれぞれの取り組みの情報交換等をしている。学校司書が学校に行く日数・時間が増えればそれに越したことはないが、他の授業などもある関係で年間91日ということになっている。このような事業をしっかり推進することで学校図書館のより一層の充実に努めている。

渡部議員

図書購入費について、10年前は5369万円だったが、約3割も削減されて令和2年には3333万4千円になっている。図書館をよく利用する人から、予約した本が手元に届くまで何か月も、時には1年も待たされることがあると聞いた。図書購入費がこれだけ削減されてしまうと副本も購入できないのではないかと思う。茅ヶ崎市立図書館において、11月28日現在で約が最も多い本は、東野圭吾の「白鳥とコウモリ」であった。茅ヶ崎市と平塚市を比べると、予約数は茅ヶ崎市が227人、平塚市が224人とほとんど変わらないが、蔵書数は茅ヶ崎市が13冊、平塚市が5冊と大きな開きがあった。当然、2位以下も同様の結果であった。仮に1人が借りている期間を1か月とした場合には3年以上待たされるという計算になる。予約が多いからといって副本をとてつもなく多くすればよいとは思わないが、現状は少なすぎるのではないかと思う。指定管理者制度の導入に当たって1.5倍の図書購入費の増額を想定しているということだったので、人気のある本に関してはもっと副本を用意することはできないのか。

社会教育部長

図書を購入する場合は、予算の範囲の中で幅広くさまざまな種類の図書を購入することで、より多くの市民に利用してもらえるようにしている。購入した図書の中でも特に予約件数の多い図書については、予約件数を確認しながら副本の購入をしている。今後は指定管理者が入って選書や発注を行うことになるので、指定管理者から図書の副本の購入について協議・相談があった場合は、十分協議して進めていきたいと考えている。

渡部議員

継続性・専門性を担保する方法を聞いたが、なかなか難しいのではないかと思っている。先日の平塚市図書館協議会では、委員が専門職としての司書の採用が長年ないことを憂いていた。今後、本市の図書館全体を見ていくような専門職としての司書を雇う計画はないのか。

社会教育部長

今回指定管理者を導入する大きな目的は、リファレンス力を高めていこうということも一つあり、それには司書の役割は大きなものと考えている。図書館全体を考えても、そのような方々を講師にして研修会等をやってもらい、図書館職員全体の質を上げて対応していきたいと考えている。

渡部議員

指定管理者を導入するに当たって、やはり人材の質という部分は大事であると思う。指定管理を一番受けている図書館流通センター(TRC)でさえ、茨城県守谷市立図書館では、民間だと経費削減を優先して専門知識を持つスタッフを十分に確保できず良質なサービスを提供できないと判断されて3年で直営に戻った。指定管理者の優位性が見られない場合には直営に戻すという英断も必要になると思うが、そういった心づもりはあるのか。

社会教育部長

今回、地区図書館3館に初めて指定管理者を導入するが、今後モニタリング等を行い、不都合などがあれば指導・改善することになると思う。そのような形で指定管理を進めていきたい。

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